スリランカの伝説的建築家ジェフリー・バワ。
その国独自の文化や自然環境と融合した空間やインフィニティプールなど、今では世界中の高級リゾートホテルで当たり前に見られる様々な建築様式の祖として知られています。
あの世界的ラグジュアリーホテルブランド「アマンリゾーツ」も、ジェフリー・バワの建築から大きな影響を受けたと言われていますね。
彼の故郷であるスリランカには、その建築を堪能できるホテルや建物が沢山残されており、スリランカを旅する理由に彼の建築を巡ることを上げる人も多いほど。
この記事では、スリランカでぜひ宿泊したい、今もなお絶大な人気を誇るジェフリー・バワが手がけたホテルをご紹介します。
目次
「ヘリタンス カンダラマ」バワの最高傑作(ダンブッラ)
言わずと知れた、バワ建築の代表作。その最大の特徴は、建物が自然と一体化していること。
山の中腹の岩肌に寄り添うように建てられたホテルの中には、剥き出しの岩がそのままに残された部分も。
バワの「やがて木に覆われ、森に還る」との言葉通り、年月がたつとともに徐々にジャングルに飲み込まれていくように設計されたこのホテル。
ホテルの内と外をおおう樹々の間を、野生の猿が鳥たちが縦横無人に走り回ります。
このホテルの人気の要因の一つが、壮大なカンダラマ湖へと続くように見えるインフィニティープール。
インフィニティープールはバワの建築の大きな特徴の一つです。
非常にフォトジェニックなプールですが、大人の男性でも足がつかない深さなので、入る際はお気をつけを。
夕方には近くの岩場で日没を告げる笛の演奏が行われ、より一層幻想的な雰囲気に包まれます。
ホテル中央にある壮大なオープンエアの吹き抜けや、階段にある生前のバワのお気に入りのスポットに置かれたデスクなど、ホテル内はフォトジェニックなフォトスポットが沢山。
スリランカの海側に建てられたバワ建築がほとんどの中で、ヘリタンス・カンダラマは唯一山の中の高台に建てられています。
カンダラマ湖の向こうには、遠くジャングルに悠然と聳える、世界遺産の巨大な一枚岩「シギリヤロック」が。
この星の歴史を感じさせるを感じさせるかのようなスリランカの壮大な大自然に抱かれる、極上のリトリートステイをどうぞ。
所在地:Heritance Kandalama PO Box 11, Dambulla, Sri Lanka
「ヘリタンス アフンガラ」最初のインフィニティープール(アフンガラ)
スリランカ南西部、アフンガラに位置するホテル。
コロンボとゴールの間にあり、観光の拠点としても便利な立地にあります。
バワ建築の特徴の一つに、建物の内部と外部の境界が曖昧で、自然と一体化するように建てられていることが挙げられますが、その代表のひとつがインフィニティプール。
プールのヘリに手すりなどを設けず、湖や海といった自然の水辺と一体化しているように設計されたプールのこと。
それをホテルに取り入れたのはジェフリー・バワであり、その初めて設計されたホテルがこのヘリタンス アフンガラと言われています。
今では当たり前になった、リゾートホテルでのインフィニティープールの始まりの地。
ロビーからプール、インド洋の彼方までも続く眺めは圧巻です!
宿泊の際はぜひ何もせずゆったりとプールにたゆたい、自然と一体化する心地よさに身を委ねてください。
所在地:54041 Ahungalla Galle Road
「ルヌガンガ エステート」バワの理想郷(ベントータ)
スリランカ南西部のベントータのデドゥワ湖のほとりにあるルヌガンガ エステート。
バワの個人的な邸宅兼庭園で、バワの建築家人生で最初に手掛けた作品でもあります。
敷地はもともとゴムのプランテーションでしたが、バワはこれをイタリアのルネサンス庭園やイギリスの田園風景にインスパイアされた美しい庭園に作り変えました。
「バワの実験室」として生涯をかけて創り続けた理想郷で、未完成のまま保存。
現在はなんと宿泊することができます。
現在は6部屋が客室として解放されており、それぞれに違ったインテリアやコンセプトが楽しめます。
ホテルではないので、設備が整っているとは言い難いですが、それを補って余りある魅力あふれる楽園。
バワの邸宅に招かれた気分になって、究極のリゾートステイを味わってみるのはいかがでしょう?
所在地:Dedduwa, Bentota, 80500
「ジェットウィング ライトハウス」海との融合が最も味わえるホテル(ゴール)
インド洋を見渡す崖の上に建ち、海と自然環境との調和が図られた美しいホテル、ジェットウィング ライトハウス。
バワ晩年の最高傑作とも言われており、「ヘリタンス カンダラマ」に並ぶ人気のホテルです。
なだらかな丘がホテルに溶け込むように続いていたり、所々岩が剥き出しになったまま取り入れられていたりと、この土地の自然に溶け込むようなつくりに。
ロビーやレストランからの海の眺めは圧巻。
数あるバワ建築の中でも、最も海と建築の融合が味わえる建築といっていいでしょう。
広大なプールやスパ、レストランなどの設備が整っており、スパではスリランカ伝統のあールルヴェーダが受けられます。
ホテルのあるゴールは、旧市街が世界遺産にも登録されており、観光で訪れるのにうってつけのバワ建築です。
部屋数は全部で63室とあまり多くはないため、早めの予約をおすすめします。
所在地:Dadella, Galle 80000
「ジェットウィング ラグーン」空港に近い癒しのホテル(ネゴンボ)
ジェフリー・バワが建築家となって最初に手がけたホテルがジェットウィングラグーン。
スリランカのネゴンボに位置し、空港からわずか30分の場所にあるため、帰国前日などの宿泊にもおすすめです。
静かなラグーンに面しており、ラグーンからのぼる朝日をみられます。
元はバワが建てたホテルではありますが、バワが建築したオリジナルの部分は現在ではほとんど残っていません。
しかしその弟子がバワのコンセプトを引き継ぎ改築し、風通しの良い、中と外が曖昧な東屋や坪庭など、バワらしい建築が随所にみられます。
オリジナルのまま残っているバワルームはとても人気で、はやめの予約がおすすめ。
ジェットウィング ラグーンの特徴の一つは、全長100メートルに及ぶ、スリランカ最長のスイミングプール。
ホテル内にはスパ施設も完備されており、アーユルヴェーダのトリートメントやマッサージを受けることができます。
旅の疲れを癒す、最後の滞在にぴったりなホテルです。
所在地:Pamunugama Rd, Negombo 11504
「ザ ブルー ウォーター」バワが残した最後の作品(ワッドゥワ)
スリランカ南西部のワッドゥワに位置する「ザ ブルー ウォーター」は、バワが残した最後の作品です。
元々は椰子畑だったところに建てられており、それを生かした作りに。
椰子の木が立ち並ぶ広大な敷地には建物がゆったりと配置されており、ホテルのどの場所からもインド洋の美しい景色を楽しむことができます。
敷地内に立つと、ホテル全体が海の風景と一体化したかのような感覚に。中心にある大きなインフィニティープールが特に印象的で。
バワの特徴的な建築スタイルである「自然との調和」を体現したホテルです。
自然光がふんだんに取り入れられた空間は、シンプルでありながら洗練された雰囲気。
ホテルの規模が大きいので、女子旅だけでなくファミリーでの滞在にもおすすめです。
ホテル周辺での観光ツアーや、ウォータースポーツ、またリゾート内でのヨガクラスなどが行われており、リラクゼーションとアクティブな体験の両方を楽しむことができます。
所在地:Thalpitiya Bridge, Wadduwa 12560
「No.11」モダンでスタイリッシュな都市部のバワ建築(コロンボ)
出典:No.11
スリランカのコロンボに位置するNo.11は、バワの住居兼スタジオとして設計された建築作品。
一風変わった名前は、この建物がバガタレ・ロード33通り11番地にあることに由来します。
他のバワ建築はほとんど自然豊かな地域にありますが、こちらは都市部にあるのが特徴。
モダンなデザインと伝統的なスリランカの要素が融合したNo.11の内部は、見学と宿泊が可能です。
出典:No.11
バワの生前の状態のまま残された邸宅内では、リビングや寝室、バワが国内外から集めたアート作品やインテリアのコレクション、家具の試作品などがそのままの保存状態で見られます。
作品が出来上がるまでの、バワの思考の軌跡を体感したい人にもおすすめです。
ただし、バワのリビングなど一部のエリアで写真撮影が禁止されているのでご注意を。
所在地:No: 11,33rd Lane Off Bagatelle Road Colombo 03
スリランカでバワ建築巡りを
アジアのラグジュアリーリゾートの源流であり、今もなお多大な影響力を誇るバワ建築。
建物全体から漂う自然との調和の理念は圧倒的で、そこに立つだけで自然に身が溶けて行くような体験ができます。
日常の喧騒に疲れたら、スリランカへ飛び立ち、バワ建築巡りをしてみてはいかがでしょうか?