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次の一皿をより美味しく頂くために!『THE HIRAMATSU 軽井沢 御代田 』で過ごす贅沢な時間
広大な『THE HIRAMATSU 軽井沢 御代田』の敷地内。端から端まで見て回ろうとすると、ちょっとしたハイキング程の距離があります。
カートにのせて頂いて移動することもできますが、せっかくなので周りの景色を楽しみながら、少し歩いてみることにしました。
本館を出てヴィラの方へ坂を下っていくと、「森の散策路」と名付けられた遊歩道が。
空気がとても清らかで、歩きながら深呼吸しているだけでなんだかお腹が空いてきそうです。
炎をかこみ語らう「TAKIBIラウンジ」
写真提供:THE HIRAMATSU 軽井沢 御代田
この日はあいにく午後からの雨で中止になってしまったのですが、天気がよければ、夕方になると屋外の木々に囲まれたスペースに「TAKIBIラウンジ」が登場します。
焚き火を囲みながらの語らいや読書など、思い思いの時間を過ごせるアウトドアラウンジ。
写真提供:THE HIRAMATSU 軽井沢 御代田
ビバレッジカーも登場し、ソムリエによる自家製ホットワインやサングリア、スープ、シェフ特製のキッシュ、カヌレなどがフリーフローでいただけます。
薪割りをしたり、焚き火でマシュマロを焼いたりもできるんですよ!
写真提供:THE HIRAMATSU 軽井沢 御代田
今回のように悪天候の際は中止になってしまうのですが、実は御代田は、国内でも屈指の晴天率を誇る場所なのだそう。
太古の昔から人の営みのあったこの御代田の地で、暮れなずむ森の中、揺れる炎を囲み食事をする。
きっと心の奥底に眠った原初の記憶が呼び覚まされるような、特別な時間となるでしょう。
また次回、必ずここに戻ってきて体験しようと心に誓いました。
五感を研ぎ澄ます「アネックス」
たき火ラウンジのすぐそばには、アネックスがあります。入口の回廊を曲がった瞬間にフッと空気が変わり、白い静寂の空間へ。
1階はライブラリー、セルフサービスのカフェ、サウンドルーム、2階は森に抱かれた予約制のウェルネスサロン。
重厚なソファーに、旅心をくすぐるトランクのようなテーブルが配された、心躍るライブラリー。
置いてある本はアートや写真、御代田や縄文をテーマにキュレーションされ、自由に手に取って読むことができます。
その奥は、レコードの聴けるサウンドスペースや、カフェスペースに。
コーヒーを片手に真空管アンプの音色を楽しんだり、思い思いの時間を過ごす空間。
ソファーの座り心地がとても良く、一度身を沈めてしまうともう立ち上がりたくなくなってしまいました。
この真っ白な空間にじっと身をゆだね音楽に耳を澄ませていると、だんだんと五感がひらかれていくような感覚に。
お部屋への帰り道には、行きには気がつかなかった鳥の声や葉の揺れる音が耳に響いてきました。
きっと味覚も研ぎ澄まされていることでしょう。ディナーがますます待ち遠しくなってきます!
『THE HIRAMATSU 軽井沢 御代田』の森の中のウェルネスサロンで癒しのひととき
さて、予約した時間になったので、アネックス2階にあるトリートメントルーム、「ウェルネスサロン」へ向かいます。
美食のためだけにすべての時間を使うことが許された『THE HIRAMATSU 軽井沢 御代田』のウェルネスサロン。受けるプログラムも、ただのトリートメントではありません。
メインの「お食事」をより引き立てる前菜のような位置付けで、これから頂くお食事を一層美味しく味わうために体を整えてくれるのです。
アロマトリートメントやスイソニアなど厳選されたプログラムが揃う中、今回はもみほぐしと、最先端の技術を使った筋膜リリースカッターを体験してきました。
筋膜リリースカッターは、専用のグローブから微弱な電流を流すことで、手では届かなかった深い部分までアプローチし、しっかりとほぐしていく最先端の技術。私は実は初めての体験です。
電気を流すと聞いて恐る恐るのぞんだのですが、部位によって電流の強さを調整し、きめ細かく気配りしてくださりながらの施術は、安心して受けることができました。
一般的なトリートメントだと、表面を撫でるような感覚にいつの間にか眠りに誘われ……というものが多いですが、こちらはしっかりと電気の流れを感じているのに、その心地よさに眠ってしまうという、なんとも不思議な感覚。
終わった後は、深部まですっきりと目覚めたように体が軽くなり。
トリートメントルームのドアを開け一面の緑に囲まれた時には、生まれ変わったような心地になりました。
お茶を頂いて、施術の余韻に浸りながらほっと一息。
窓の外にあるテラスでは、週2回、サンセットフォレストヨガも実施しているそう。
少し暗くなり始めた景色の中、雨とほんの少しの土の匂いを嗅ぎながら本館に戻ると、ロビーの暖炉に火が灯されていました。
うっすら漂う薪のにおい、時折パチンとひびく音。
揺れる炎をみつめていると、普段は体の奥に眠っていた原始的な記憶、原始的な欲求が蘇ってくるような感覚に。
さあ、本日のメインディッシュを迎える準備は万全です!
全てはこの瞬間のために!「ラ・ルミエール・クレール」で頂くひらまつのイタリア料理ディナー
今日ここで過ごした時間は、全てこの瞬間のために捧げられたと言っても過言ではないでしょう。
期待に胸を膨らませながら、ディナーのレストランへ向かいます。
新たに誕生したイタリア料理レストラン「ラ・ルミエール・クレール」
この6月より、5階のダイニング「La Lumière Claire (ラ・ルミエール・クレール)」が、イタリア料理レストランとしてリニューアルオープン。
開業当初よりあったメインダイニング「Le Grand Lys (ル・グラン・リス)」のフランス料理とあわせ、連泊すればひらまつのイタリア料理とフランス料理の両方を堪能することができるようになりました。
窓の外には森の木々や八ヶ岳の雄姿が広がり、中央には暖炉の火。
山のリゾートらしい雰囲気の中、気取らずリラックスしてお料理を楽しむことができます。
まずはこの美食家の楽園で、1日のメインイベントであるこの瞬間を迎えたことに乾杯!
するとテーブルに、パスタ料理を得意とするシェフのこだわりのつまった、自家製手打ちパスタの見本が運ばれてきました。
6種類がずらりと目の前に。信州名産のそば粉や、ほうれん草等の土地の野菜を練りこんだものなど……。
実物を見てしまうとどれもとても美味しそうで、選ぶのが難しく。なんとも罪深いパスタです。
悩みに悩み、烏骨鶏の卵を練りこんだものに決めました。
アミューズには、大きな生ハムの原木が登場!
目の前で切り分け、無花果の上に。
心躍るディナーの始まりに、おもわずこの笑顔です。
そしてキャビアののった鯉のマリネ。
千曲川の清冽な水で育った長野の鯉は、臭みがなくて身がしまり、本当に美味しいのです。
私は父方の実家が佐久にあったため、夏休みに遊びに来るたび鯉の料理を食べていました。
その想い出の鯉が、こんなに味わい深い料理になるとは……!
おもわず感激し、ちいさな一口を目をつぶって大切に味わいました。
花ズッキーニ / 岩魚
岩魚のすり身に、ビネガーとおだしのゼリーがとても爽やかな一品。
添えられた漆のカトラリーは信州の伝統工芸です。口当たりが優しく、ガラスの器に当たる音も軽やか。
お皿の上の小さな世界で、夏の信州を思い起こさせる素敵な一皿。
信州そば粉 / 手長海老
信州そば粉で作られたカッペレッティ。帽子の様な形をした、手長海老の詰め物が入ったパスタです。
目の前でスープを注いで頂き、完成。お出汁と海老のいい香りが立ち上ってきます!
そば粉のもちもちとした触感と優しい甘み、そこにフキの苦味と手長海老の旨味が合わさってとても美味しく、これだけで1食たべたいと思ってしまったほど。
天龍鮎 / ゴルゴンゾーラ
このコースのメニューは、料理名ではなくシンプルに素材名だけが書かれています。
一体どんなものがくるのか想像しながら次のお料理を待つのですが、毎回予想外のお料理が予想外の形で登場。
そして食べてみてさらにその美味しさに驚くのです。
こちらもなんともダイナミックなパスタが登場しました。
天龍鮎が姿揚げでまるごと添えられ、その上に行者にんにくが踊ります。
程よい弾力のパスタをかみしめると、ソースの味の奥に烏骨鶏のパスタの濃厚な旨味が広がり、無言で夢中で食べてしまう美味しさ。
ああ、やはり最初に見た時に感じた通り、罪深いパスタです……。
イサキ/ ベッカフィーコ
ベッカフィーコとは、シチリアの郷土料理。パン粉、レーズン、チーズなどをミックスした詰め物をして焼いたもの。
カリカリとした食感と、レーズンの甘みやレモンソースの甘酸っぱさが食欲をそそり、軽やかに頂けます。
普段のディナーでは、私はメインの魚料理が来る頃には、どんなに美味しくとも食べるのが苦しくなってしまうことが多く。
ですがこの時はお腹は大分満たされながらも、一皿食べ終わるころには不思議と舌が整い、次の料理への期待が湧き上がってきました。
信州プレミアム牛 / 醤油豆 / たかきび / 燻香
メインのお肉料理は、細長いふた付きの器にいれられて席へ。
パッと開けた瞬間に煙が立ち上り、燻した良い香りの向こうに何とも美味しそうなお肉が登場しました。
噛んだ瞬間に柔らかくとろけ出し、旨味が口一杯に広がります。
そっと鼻の奥に漂う薫香と共に頂く、至高の一皿。
アメーラトマト / レモン
プレドルチェに出てきたのは、お皿にたたえられたトマトのソース。
そこに液体窒素で凍らせたレモンを目の前で注ぐと、ひんやりとした煙が消えるころにはシャーベット状に!
このコースでは一つ一つのお料理が、手を替え品を替え驚きの登場をし、飽きる暇がありません。
トマトとレモンが、こんなに合うとは……!
2種類の違った酸味を味わえる、とても爽やかな美味しさのスイーツです。
カカオ / マスカルポーネ / 黒文字
カカオと、黒文字を煮だしたソースがお皿の上で音符のように躍る、ティラミスのようなスイーツ。
透き通る美しいゼリーは白樺です。
あっという間に最後の一品に…大事に1口1口頂きながら時計を見ると、もう2時間がたっていました。
驚きと喜びの連続のディナー。幸せな時が過ぎるのはこんなにも早く。
曲げわっぱに漆で模様を書いた美しいお皿にのせられた小菓子を、ぼうっと見つめながらしばし余韻に浸ります。
これは神様がくれた人生のご褒美時間だろうか。こんなご褒美をもらえるなんて、私たちはきっとこれまで頑張ってきたに違いない。
そんなことをつい思ってしまうほどの、満ち足りた幸福感。
美味しいお食事を出すレストランは多々あれど、これまでの人生を肯定したくなるほどの至福に包まれた食事は、体験したことがありません。
窓の外に目を向けると、夜の闇の向こうに、御代田の夜景が広がっていました。