街の中央に桜の木々に囲まれた松川が流れ、緑と花の溢れる水の都 富山市。
新幹線の富山駅から徒歩で行ける範囲内に、風情ある観光スポットがあちこちに見つかります。
観光地が離れたところに点在していて車がないと周れない…などということはなく、徒歩で街巡りをしながらゆったりとした時間が過ごせ、週末を利用したリフレッシュ旅にぴったり。
今回は徒歩で巡る富山女子旅のおすすめスポットをご紹介します。
目次
手作りした和菓子と共に優雅に歴史クルーズ「松川遊覧船」
水の都 富山の顔ともいえる松川をゆったりとクルーズできる「松川遊覧船」。
川の両脇には桜の木が立ち並び、春にはお花見、夏には力強い緑と川面に煌めく強い日差し、秋には紅葉と、四季折々の姿を堪能しながらクルーズを楽しめます(冬季は休業)。
普通に乗っても面白いのですが、特におすすめしたいのが、松川遊覧船の乗り場である「松川茶屋」で自分で手作りした和菓子とお抹茶を持ち込んでのクルージング!
松川茶屋では、創業83年の和菓子屋「菓子匠 平安堂」とコラボした「和菓子手作り体験キット」を使用して、説明書を見ながら和菓子づくり体験をすることができます。
お抹茶つき:1,200円
キット単品:730円
作れる和菓子のデザインは季節によっても異なり、取材時はスイカや鱒寿司、松川遊覧船などがありました。
予約なしでも体験できますが、キットの上生菓子を解凍するのに30分ほど時間がかかり、またデザインの種類も限りがあるため、前もって予約しておくのをおすすめします。
15分ほどで完成!
お抹茶と一緒にお盆に乗せて、早速船に乗り込みましょう。
桜の木の木漏れ日の元、川辺の風を感じながら出発!
和菓子を頂きながらゆったりとクルージング、というだけでも優雅な気分ですが、それが自分で作ったものとなったら喜びもひとしお。
次々と移り変わる富山の景色を、その歴史やストーリーも交えた船頭さんの解説を聴きながら堪能し、約30分の歴史クルーズ。
途中で魚用の餌を渡してくれるので、運が良ければ餌に釣られて集まってきた魚を狙うサギの様子も見られます。
心躍る時間の過ごせる松川遊覧船、富山旅行の際はぜひ…と言いたいところなのですが、実は能登半島地震で被害を受けた松川の護岸の大規模な復旧工事に伴い、松川遊覧船は7/31から運休に。
来年の春までには営業再開予定ですのでその際はぜひ。
なお、乗り場にある松川茶屋は通常通り営業しており(冬季は休業)、店内での和菓子作り体験も可能です。
和菓子を作って、川辺のオープンテラスできらめく川面をみながら頂くのもよし、店内で富山城抹茶パフェを食べるのもよし。
また、松川茶屋には「滝廉太郎記念館」も併設。
少年時代のひと時を、富山で過ごした滝廉太郎。
当時の面影の残るレトロな一室で、滝廉太郎が作曲した曲を聴きながら、富山との繋がりにしばし思いを馳せます。
楽しみ方色々の松川茶屋。
街の中心地にあるので、歩き疲れた時にホッと一息つきに帰ってくるのもおすすめです。
富山城内で歴史に触れる「富山市郷土博物館」
富山の歴史に触れるなら、続日本百名城に選ばれた富山城へ。
松川茶屋から徒歩すぐのところに、風情ある和風庭園に囲まれた富山城址公園があります。
富山城の天守閣内部は富山市郷土博物館になっており、戦国時代から現在にいたるまでの富山城および富山周辺の400年以上にわたる歴史資料や美術作品が展示されています。
天守は国の登録有形文化財に指定。
お城の主人になった気分で、富山の街並みを見下してみては?
戦争の空襲で市街地が壊滅的な被害を受けた富山の、復興のシンボルとして再建されたのが富山城。
千歳御門(ちとせごもん)は、富山城の建築物として江戸時代から現存する唯一の遺構となっています。
緑の中に佇む富山城で、しばしタイムトリップを。
隈研吾氏設計!フォトジェニックな「富山市ガラス美術館」
富山駅周辺を散策していると一際目をひくおしゃれな建物、複合施設「TOYAMA キラリ」。
この設計を手掛けたのは、旅好き女子の間でもファンの多い、世界的な建築家の隈研吾氏です。
この特長的な外観には、富山県を代表する産業の一つであるアルミとガラス、そして御影石が使用されています。
館内には富山市ガラス美術館と富山市立図書館が併設。
吹き抜けになった高い天井に浮かぶのは、これぞ隈研吾氏建築!といった無数の木製ルーバー。富山県産の杉が使われているそう。
この壮大な吹き抜けを、2階から仰ぐように写真に撮るのが人気です。
幾層にも重なりあうルーパーがとてもおしゃれ!
いい写真が撮れる場所に目印が置かれているので、ぜひフォトジェニックに撮ってくださいね。
クリアな館内に、木の温もり溢れるルーパーを通して降り注ぐ自然光。
こんな素敵な図書館で読書にふけられるなんて、富山市民が羨ましい…!
富山市ガラス美術館では、現代ガラス芸術作品の数々が展示されています。
くすりの街として古くから知られる富山では、明治・大正期にはガラスの薬びんの製造が盛んに行われており、世界有数のガラスの街となりました。
常設展として現代ガラス作家の巨匠デイル・チフーリ氏によるインスタレーション(空間芸術)が展示されたグラス・アート・ガーデンなどが鑑賞できる他、企画展の開催も。
取材時は、現代ガラス芸術の国際公募展「富山ガラス大賞展2024」の受賞作品の展示が行われていました。
美しいグラスアートの世界に浸ってみてはいかがでしょう。
所在地:富山市西町5-1
営業時間:日~木 9時30分~18時(入館17時30分まで)/金、土 9時30分~20時(入館19時30分まで)
休館:毎月第1・第3水曜、年末年始
入館料 :常設展 大人200円
富山市を一望できる「富山市役所展望塔 」
富山の街を歩いていると、立山連峰がひょっこりと街の向こうに顔を出し、その雄大さにうっとりしてしまうことがよくあります。
この美しい景色をもっと堪能すべく、富山市役所へ向かいましょう!
市役所の上に展望台が設置されており、地上約70mから360度の大パノラマを楽しめるのです。
しかも嬉しいことに、入場料は無料。
晴れた日には雄大な立山連峰が一望でき、眼下には富山城が。
風に揺れる木の下で、松川にゆったりと遊覧船が流れていくのを見ていると、時が経つのを忘れてしまいそうです。
所在地:富山市新桜町7-38
営業時間 【月~金曜日】9:00~21:00(9:00~18:00)【土日祝】10:00~21:00(10:00~18:00) ※( )内は11月から翌年3月までの期間
料金:無料
ランチにも!薬膳料理と丸薬作りを体験できる「池田屋安兵衛商店」
お昼も兼ねてぜひとも訪れてほしいのが、東洋医学に基づいた和漢薬・漢方を中心に製造販売をしている老舗の薬屋「池田屋安兵衛商店」。
昔ながらの座売りを守った趣のある店内で、丸薬作りを体験したり、おいしい薬膳料理をいただけます。
300年以上も前から「越中富山の薬売り」などの名前で全国に知られていた富山の配置薬は、富山内の様々なものづくり産業を支える根幹。
薬を入れる薬瓶を作るためにガラス産業が、薬を包む包装紙を作るために印刷・包装資材の産業が…というように富山の産業は薬と共に発達してきました。
お店の一番人気のお薬は、生薬を効果的に組み合わせ、江戸時代に一世を風靡した「反魂丹(はんごんたん)」。
瓶入りの他に、こんなかわいい紙に包まれたバージョンも。
そのほかにも、頭痛など女性に嬉しい効能のお薬なども売られています。
レトロなパッケージに惹かれ、思わず自分用のお土産に購入してしまいました。
自然由来の生薬でできているので安心です。
古くからの伝統産業ですが、口に入れるものは化学的なものではなくなるべく自然のものにしたい、という今の風潮にもピッタリとマッチ。
時代を超えて支持されるのは、やはりこういった誠実なものづくりなのでしょう。
店内では、昔ながらの手動式製丸機で伝統的な丸薬の作り方を体験することができます(予約不要、無料)。
指導通りにやってみても、なかなか綺麗な丸にするのは難しく…匠の技への道のりは遠いようです。
お店の2階は薬膳レストラン 健康膳「薬都」になっており、漢方の考えに習った体に優しい薬膳料理を頂けます。
薬膳というと、苦そうで体にはいいけれども美味しさは二の次、というイメージがありますが、こちらのお膳は何を食べてもおいしいのです。
夏の猛暑下でもお箸が進む、見るからに涼やかな豆乳豆腐に…
お出しをたっぷり吸ったナスと氷見うどんの炊き合わせ。
高麗人参のスープに、黒米の山菜おこわなど。
夏バテをしていても食欲が湧いて出てくる気がするほどの、体の内側から健康になれそうな料理の数々。
健康膳は前日までに要予約です。
とても人気のあるレストランですので、早めの予約をおすすめします。
新鮮な富山市の地場産物がそろう「地場もん屋 総本店」
富山の地産地消を基本に、生産者と食卓を繋ぐ「地場もん屋 総本店」。
富山市内の農家から毎日仕入れる新鮮な野菜や果物、魚や肉、お花に加工品まで、さまざまな地場産物がずらりと並びます。
値段もとてもリーズナブル!
他の地方では、地元の人が買うような新鮮な食材は、街中から離れたところへ買いに行かなければならないことがありますが、こちらは街中のアーケード街という観光客でも行きやすい場所に。
地元の有名レストランのシェフも、毎日の仕入れ先の一つに取り入れているのだそう。
地元の人からどれほど支持されているかは、この売り場の広さと、並べる側から次々と伸びてはカゴに詰め込んでいくたくさんの手からもわかります。
富山市産の果物加工品やお弁当も売っているので、旅行者にも便利です。
新鮮なお弁当や、駅のお土産屋さんでは目にしないような一風変わったローカルなお土産を探している人は、ぜひチェックしてみてください。
オープンまもなく訪れましたが、ひっきりなしに訪れる人、人…。
ぜひ品揃えが豊富な午前中に訪れてくださいね。
富山を代表する銘菓が買える「月世界本舗」
富山のお土産といえば、こちらを外すことはできません。
1897年創業「月世界本舗」の、富山を代表する銘菓「月世界」。
新鮮な鶏卵と和三盆糖、寒天、白双糖を煮詰めた糖蜜と合わせて乾燥した、口当たりのよい上品なお菓子です。
とても軽やかで、口に入れた瞬間にフワッととろけ、余韻のある甘さが広がります。
また、マシュマロのようなふんわりとした軽い口溶けのお菓子「まいどはや」もおすすめです。この名前は富山のあいさつの言葉で、「おげんきですか」という意味なんだそう。
ゆず味とごま味があります。
お土産の銘菓は10個以上入った形で売られることが多いですが、1人に渡したい時などにはそれではちょっと多すぎて…かといって1個の個包装では味気なくやはり箱入りで購入したい、と悩むことがありますね。
こちらではお手頃な4個入りのバラエティーパックがあります。
しかも6種類のウサギのかわいい小箱の中から好きなものを選んで詰められるんです!
中に入れるお菓子の組み合わせはお好みで。
月世界とまいどはや2個づつでも、4つ全部月世界にしても。
私は全部まいどはや(ゆず2つ、ごま2つ)と、全部月世界を詰めた2箱を購入。
渡す人を思い浮かべながら、その人の好きそうな味とボックスを選びました。
喜んでもらえますように。
江戸時代から続く麦芽飴 の老舗「島川あめ店」
富山らしいお土産を探している人におすすめなのが、「島川あめ店」の麦芽水飴。
こちらの創業はなんと江戸時代初期の寛文三年。
薬の苦みを少なくするために水あめを用いたのがきっかけとなり、富山であめ造りが盛んになりました。
ただ、現在まで残る水あめ店は「島川あめ店」だけだそう。
原材料は澱粉と麦芽と米のみで炊き上げた、江戸時代からの伝統の味。
強すぎず、すっきりとした上品な甘さです。
そのまま食べてもよし、コーヒーなどの飲み物や料理に砂糖代わりに入れるのもよし。使い方は色々。
水飴を使ったグラノーラやクッキーなども販売されています。
美味しくてからだに優しい飴。
薬ととも歩んできた富山らしい、貴重なお土産です。
おいしい富山を味わう朝食を「ホテルJALシティ富山」
さて、これまでご紹介した9スポットは徒歩で巡れるため、日帰りの旅行でも頑張れば巡れます。
ですが忙しない旅になってしまうので、大人の女子旅ではぜひ1泊して、富山の風情ある街並みに癒されながら過ごしましょう。
宿泊はホテルJALシティ富山へ。
JR富山駅から徒歩3分。今回紹介したスポットにも行きやすく、旅の拠点としても便利な立地。
赤が効いたお洒落な内装は女子旅にうってつけです。
お部屋にはペットボトルの水の代わりにピッチャーが置かれています。
富山は水がおいしいことでも有名なので、このピッチャーで各階に設置されたウォーターサーバーから水を汲んでくる方式になっているのです。
環境にも良い上に、おいしいお水で入れたコーヒーは最高!
水がおいしいとなれば、それで作った料理もおいしいもの。
このホテルの人気の要因の一つは、充実した朝食ビュッフェです。
鱒寿司や、地元の麹味噌を使ったお味噌汁、お漬物などのご飯のお供もたっぷりと。
富山の名産品を揃えた、富山づくしの朝食。
ライブコーナーでも地元の食材を使ったさまざまな料理が頂けます。
朝からおいしい富山をたっぷりと味わいましょう。
所在地:富山市宝町1丁目4−1
週末は水の都富山でリフレッシュ旅を
今回おすすめしたスポットは、どこも徒歩で巡れる場所ばかり。
富山はコンパクトで歩きやすい街なので、車のない人のリラックス旅にピッタリです。
また、富山の街中には路面電車が走っています。ゆっくりと走る路面電車の窓から移り変わる街並みを眺めるのも風情があり、いい旅の思い出に。
ゆったりとした時間が流れる伝統ある街を、川のせせらぎをきき、木の葉を揺らす風を感じながら歩き、美味しくて健康的な食事と水を味わう。
1泊ですっきりとリフレッシュできる富山女子旅、ぜひ体験してみてください。
取材協力:月刊グッドラックとやま